フォトコンテスト主催者の皆さまへ

フォトコンテストの応募要項を作成するにあたってのお願い

 日本写真著作権協会(以下 JPCA)では、フォトコンテスト主催者の方に向けた、応募要項に関するガイドラインを設けております。応募要項作成の参考にしていただきたくお願いします。応募者が危惧する著作権の明記、主催者の利用目的及び使用条件などの記載、応募要項の用語の統一により、応募者と主催者との誤解やトラブルを避けることが目的です。

「著作権の帰属について」

 写真愛好家やコンテストの主催者の方々から、「応募作品、入賞作品の著作権は、誰に帰属するのか?」といった問い合わせが数多く寄せられたことから、JPCAは、全国の「フォトコンテスト」の応募要項、応募に関する問題点の実態調査を行いました。その結果、著作権保護の観点から不適当だと考えられる規定などが散見され、応募者、主催者の双方に誤解や混乱が生じていることが分かりました。
 かつては、応募要項に、入賞作品、応募作品の「著作権は主催者に帰属する」、または、「版権は主催者に帰属する」という記述があり、JPCAは面談や書面により改訂をお願いしてきました。それにより、多くのケースでこの規定は改訂されています。しかし、ここ数年、「著作権は撮影者に帰属する」としながらも、「『使用権』は主催者に帰属する」とした記述が散見され、「著作権は撮影者と主催者が『共有』する」といった規定も見受けられます。
 入賞作品(応募作品)の「著作権は撮影者に帰属する」とし、アーカイブなどにおける過去の受賞作品の紹介を除き、入賞作品などを利用する際には、その都度、撮影者に同意を求めることをお願いします。

「著作者人格権について」

 著作者人格権は、著作者の人格的利益の保護を目的とする権利です。氏名表示権、公表権、同一性保持権の3つの権利で構成され、譲渡も相続もできず、行使を放棄することもできません。しかし、近年、「著作者人格権不行使特約」を定める応募要項が見受けられます。
 著作者人格権は、著作権法第59条で、著作者の一身に専属し、譲渡することができない、と定められています。写真作品と、その撮影者の結び付きを前提とするもので、それを他人が安易に切り離すことはできません。
包括的に「著作者人格権の不行使」を求めるのではなく、誌面のレイアウト、アプリ機能などにより、やむを得ず作品の周辺が切れてしまうケースなどについては、その内容の記載をお願いします。

日本写真著作権協会の推奨する「応募要項」(例)

1 入賞作品(応募作品)の著作権は、撮影者に帰属*します。
 *著作権法上、著作権(写真作品)は著作者(撮影者)に帰属するのが原則です。一方的にこれを主催者に帰属させることは著作権法の精神に反します。
2 主催者は、入賞作品を本コンテストの広報活動に必要な範囲で、新聞、雑誌、テレビ、ウェブサイトなどで、○年間*1利用することがあります。それ以降は、入賞作品の紹介のためのアーカイブ*2として利用します。お預かりした応募作品のデジタルデータまたはプリントなどは審査終了後、速やかに削除・廃棄します。
 *1 必ず利用期間を記載して下さい。通常の利用期間としては2-3年程度が目安です。
 *2 過去の受賞作品や受賞歴などの紹介(アーカイブ)による利用に、コンテストの広報活動などは含まれません。広報活動などに利用する場合はその都度、撮影者に同意を求めて下さい。

3 入賞作品の利用にあたっては、著作者人格権に基づき撮影者の氏名表示を行います。誌面のレイアウト、アプリ機能などにより、やむを得ず作品の周辺が切れてしまう場合がありますので、ご了承ください。
4 主催者は、入賞作品を撮影者に無断で第三者に利用させることはありません。本コンテストの広報活動以外で利用する場合には、事前に撮影者に目的、条件(使用料など)を説明した上で、同意が得られた作品についてのみ利用します。
5 受賞作品が他のコンテストでの入賞、または、応募以前に印刷物、展覧会などで公表されていることが判明したときは、主催者は受賞を取り消す場合があります*。
 *未発表作品の応募に限定しない場合、他のコンテストなどで入賞・入選した作品も応募可能とする場合には必要ありません。
6 人物を主題にした作品の場合は被写体の人物から了解を得てください。
7 応募作品が「合成または加工された写真」である場合は、その旨を明記して下さい*。
 *合成または加工された作品の応募の可否、加工された写真に対しての取扱いについて明示して下さい。
8 生成AIによる生成画像、画像編集アプリによる合成や加工をした作品は応募できません*。
 *生成AIによる生成画像、画像編集アプリによる合成や加工をした作品の応募に対しての取扱いについて明示して下さい。
9 他人の著作物を利用して加工や合成をしますと、著作権の侵害*にあたる場合がありますので注意してください。
 *他人の著作物を無断で複写・ダウンロードなどをして利用すると、複製権侵害にあたります。また、無断で加工・合成などの改変を行うことは、著作者人格権の侵害となります。

参考:「版権」について
 明治9年につくられた写真条例により、「写真版権」という文言が用いられましたが、昭和46年の著作権法全面改正によって「版権」という文言はなくなりました

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